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リーマンショックの原因は? 現代人の宗教は科学教だ! タレブ 『反脆弱性』を読んで①

ナシーム・ニコラス・タレブ 反脆弱性
  • 読んでほしい人
    リーマンショックを引き起こした人間の奥底に潜む本当の原因が知りたい人へ
  • 扱うテーマ(悩み)は?
    リーマンショックからみる、人間の科学への盲信について
  • 伝えたいこと
    科学は万能薬ではない 批判の精神を持つことが大事
  • この記事を読んで、得することは?
    科学への盲信を避け、バランスの取れた人間になることができます

2008年に起こったリーマンショックですが、なぜ起こってしまったのでしょうか?

私はまだ高校生で、「TVの向こう側でえらく大変なことになっているなぁ」、と思っていたのを思い出します。

リーマンショックの表面的な理由としては、サブプライムローンが原因と言われています。

ただ、これはあくまで表面的な理由です。その背景にある人間のある態度について理解しない限り、第二のリーマンショックは今後も引き起こされるでしょう。

そのある人間の態度とは、「科学への盲信」です。

もっと簡単な言葉で表現するなら、「健全な疑いの目を持たない科学への絶対的な信頼」、とも言えます。

今回、ナシーム・ニコラス・タレブ(以下、タレブ)の『反脆弱性 ANTIFRAGILE』を読んだので、ブログ記事で何回かに分けて、紹介します。

ナシーム・ニコラス・タレブ 反脆弱性

リーマンショックは科学への盲信によって引き起こされた?

  • リーマンショックは科学への盲信によって引き起こされた。
  • しかし、当然のことながら、科学は万能ではない。

Rは、公務員として、ずいぶん変わっている種類の人間です。

地方公務員の人は、あまり投資、金融、経済に興味がありません。

なぜなら、経済がどうなろうと、自分の給料に大きな変動が無いからです。

毎日、仕事をこなしていれば、それなりの給与が保障されているので、経済がどう動こうとあまり関係無いんですよね。

そんな中でRは結構の変わり者で、投資、経済、金融などの分野に大変興味があります。

公務員の仕事をする中で、それと同じくらいの時間、上記分野の勉強に充てています。

そして、上記分野の中で、やはり触れておかねばならないのは、リーマンショックというイベントでしょう。これは投資の世界でも、経済の世界でも、大変大きな影響を与えた金融危機でした。

早速、リーマンショックの原因と、そこに潜む人間の科学への盲信を確認していきましょう。

リーマンショックの原因を解説 住宅ローンとその証券化

リーマンショックを読み解く鍵は、住宅ローンとその証券化にあります。

住宅ローンとは、家を借りるときの借金のことです。そして、証券化とは、ある金融商品を市場で売買できるように、書面化(データ化)することを言います。

住宅ローンは銀行から借りるものです。つまり、本来の関係は、借り手であるあなた、貸し手としての銀行の2者です。

しかし、ここに証券化という技術が加わることによって、その権利や義務を市場で売買できるようになるのです。この住宅ローンをバックにした金融商品のことをMBSと言います。

そして、更にこのMBSやら他の金融商品をミックスした商品をCDOと言います。ミックスになっているので、内容はとても複雑です。

ちなみに、証券化ができるということは、そこにデリバティブ(金融派生商品)が生まれます。

日経平均株価という指標が作られれば、日経平均株価を原商品として、日経平均株価の先物取引などのデリバティブができます。現代の金融は、この元の原商品より、デリバティブの金額の方が圧倒的に多いのです。なぜなら、レバレッジがかかるからです。

CDOには色々なリスクの商品が混ざっています。返済能力が低い人の住宅ローンをバックにしたサブプライムローンも混じっています。

しかし、格付会社はこうしたリスクの高いCDOにも国債と同評価で最高格付のAAA評価を連発しました。金利が国債より高いのに、安全度はAAA評価。最高の商品のように見えました。

ついに人類は、金融工学という最先端の科学技術によって、夢のような金融商品を開発したとの賜わり、大層大きな声で、色々な人に、CDOを売りさばきました。

中身はゴミクズみたいな商品をAAA評価として売りさばいているのですから、それはそれは笑いが止まらないほど儲かります。

しかし、時の流れは残酷です。中身がクズであるなら、バレることは必然なのです。みなさんは、その結論について既に知っていますよね。100年に1度と言われる、世界的な金融危機を引き起こしてしまいました。

金融工学という最先端の科学技術に盲信してしまった人間

テクノロジー
  • 最先端の科学技術である「金融工学」により、リスクは管理できるという考えに陥っていた。
  • 人間が未来を予測できないという大前提は絶対に覆ることはない。
  • しかし、科学というプロメテウスの火(強大でリスクの大きい科学技術)を手にしてしまった人間は、科学に全幅の信頼を置いてしまった。

MBSやCDOのリスクは金融工学の技術によりきちんと管理されているので、問題ないとされていました。

リスクというのは算数の計算上の問題です。統計学、金融論、高度な数論をベースに、金融工学は作られています。

しかし、統計学や金融論のデータというのは、あくまで過去の情報を使うんですね。というかそれしか方法が無いから、そうしているに過ぎない仮のデータみたいなものなんですよ。

だけど、人間というのは、そのような前提というのはすぐに忘れてしまいます。

「統計学!なんかかっこいい!」「何本もの数式で構成されている、数学的に証明されたらしい!」

「〇〇大学の〇〇教授が〇〇理論でノーベル〇〇賞を受賞したらしい!」

このように、社会が変わっていくと、実際にそうなっていくのです。それが人間社会です。

過去のデータはあくまで過去に起こったものなので、それをもって完全に未来のリスクを管理できません統計偏差から大きくハズれる微小なリスクについては、見ないことにしているのです。確率上、頻繁に起こるものではないから。

しかし、この極微小なリスクが起きるのが、現代金融なんですよ。ブラック・スワンとも言いますね。無視してOKとか言ってたのに、実際にそれが起こると、天災級のダメージを残していくわけです(回復不能)。

不確実性とリスクは違う 未来は不確実性に満ち溢れている

不確実性
  • 不確実性(Uncertainty)は、確率計算が通用しない、カオスな状況を意味する。
  • リスク(Risk)は、数値上で計算できるボラティリティを意味する。
  • 未来はリスクではなく、不確実性に満ち溢れている。
  • 未来をリスクの概念で捉えると、あとで大きなしっぺ返しを食らうことになる。

Rが尊敬して止まない、このブログで何度も登場している、20世紀最大の経済学者であるジョン・メイナード・ケインズ。ケインズはこの点を理解していました。

彼は、きちんとリスク(Risk)と不確実性(Uncertainty)を区別していました。

リスク(Risk)は統計や計算上で表現できるボラティリティ(ばらつき度合い)を示します。

それに対して、不確実性(Uncertainty)は、確率計算では表現できない、カオスに満ち溢れている世界のことです。未来はこの不確実性が圧倒的に支配する世界です。未来はブラック・スワンが急に空から舞い降りてくる世界なんです。

*ブラック・スワンとは、めったに起こらないけれど、壊滅的被害をもたらす事象のことを言います。

現実の未来は、ブラックスワンが急に空から舞い降りてくる世界で、なおかつ、不確実性(Uncertainty)が支配する世界なのに、人類は最先端の科学技術でリスク(Risk)という概念で立ち向かいました。

結果は明らかですね。急にブラック・スワンが舞い降りてきて、管理していたリスクは誰も管理できなくなりました(当時、本当にリスクをわかっていたのは、世界で指折り数えるほどとも)。

CDOなどの金融派生商品を売っている方も、買ってる方も、どれくらいのリスクを含んでいて、評価額がどれくらいなのか不明なんです(笑)。皆が疑心暗鬼になり、超弩級の金融危機をもたらしました。

科学技術は役に立つけど、万能薬ではないことを肝に命じる

ブラック・スワン
  • 科学技術は役に立つ場合もあるが、万能薬ではない。
  • 科学は万能薬ではないという態度を身につけた人間が扱う科学こそ、真に知的な人間の態度である。

この世界には絶対の解法があるものは少ないです。私の尊敬する先生の好きな言葉があります。私が学生時代に私淑していた先生の言葉です。

民主主義という制度に対して疑いの目を持っている人間が多数を占める社会の民主主義こそ、現代の政治の希望である。

素晴らしい哲学的表現ですよね。

アメリカがGHQを通じて、戦後民主主義にもたらした弊害ですね。私達日本人は、政治制度において、民主主義は政治界の王様で、使用していれば、素晴らしい政治がもたらされると勘違いしている人が多いです。

歴史を見返せば、民主主義はヒトラーを生み出したし、愚衆政治に陥る可能性も秘めているのです。

しかし、私達は、民主主義を一応、世界共通の政治制度として、その価値観を共有しています。Bestではなく、Betterな政治制度として。この民主主義を健全たらしめるものは、人間の民主主義への健全な疑いの目です。

科学もそれと同じだと、Rは思っています。宗教を圧倒し、近代に現れたプロメテウスの火である科学。もちろん、使い方によっては、人類に希望をもたらすこともあるでしょう。

しかし、健全な疑いを持たない科学は、ヒトラーを生み出した民主主義と同じ運命を迎える可能性が高いでしょう。

健全な疑いの目を持たない科学は、ブラック・スワンが現れたときに慌てふためき、天文学的な被害を残し、取り返しのつかないダメージを人間社会に与えます(リーマンショック、福島原発事故など)。

リスクが管理できないのは、悪いことか?

  • リスクを科学で管理できると勘違いするのは人間のおごり。
  • ランダム性は、必ずしも、人間の敵であるわけでない。

ここまではタレブの紹介をするまでの前段です。少し長かったですね(笑)。

リーマンショックは大きな出来事であり、その失敗から学ぶことがたくさんあるので、長めに触れました。

リスクを科学の力で完全にコントロールできると思うのは、完全に人間の思い上がりです。

未来が不確実でコントロールできないことは、完全に悪でしかないのか?

これが、タレブが『ANTIFRAGILE 反脆弱性』で提案した一大テーマであります。

それを、彼は、脆弱、頑健、反脆弱、という3つのキーワードを中心に自説を展開します。

この反脆弱性(Antifragile)という概念は、斬新な考え方です。

さて、記事が長くなりすぎたので、この続きは第二弾に譲ることにしましょう。

この記事で伝えたかったこと

  • リーマンショックは、人間の科学への絶対的な信頼を見事なまでに露呈した出来ことであった。
  • 科学技術は、全ての問題を解決できる、万能薬ではない。
  • リスク(Risk)と不確実性(Uncertainty)を区別すること。
  • 未来はリスクではなく、不確実性に満ち溢れたカオスな世界である。

今回の記事ではリーマンショックという出来事を中心に、リスクや不確実性、人間の科学への絶対的な信頼について扱いました。

投資をする上でも、日常の意思決定をする上でも、リーマンショックの失敗から学ぶことはたくさんあります。

次回以降の記事では、ランダムなことや将来が不確実であることは、ある条件の下では有利に働くことを説明します。

未来の不確実性を積極的に受け入れられる考え方を知っているのと、そうとないのでは、これからのライフスタイルに大きな影響を与えますよ!

ぜひ、お楽しみに!

ABOUT ME
公務員 投資家R
公務員 投資家R
20代地方公務員。投資、公務員、読書、映画などの情報を発信しています。21世紀は「信頼と信用」が何よりも重要になってくると考えて、ブログを運営しています。利益だけを追わない、信用を貯める。利益は後から結果的についてくる。

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